学歴は確かに大事だ。どんな学校で学び、どんな資格を持っているかが、その後の人生に影響を与えることも多い。学歴が高い方が、就職試験を受けられる会社の数が増えるし、行きたい企業に入れる可能性も高くなる。また、学校の教師や医師など、大学を出ていないと就けない職業もある。学校の勉強を頑張ると未来の選択の幅が広がるのは1つの事実で、学歴っていうのは就職するときに有効な一種の資格のようなものだ。
けれど、学歴が人生のすべてかと問われれば、答えは「ノー」だ。学校生活の中で、成績や進学先が全てのように思えてしまうこともあるだろう。周囲の競争やプレッシャーに押しつぶされ、「このままでいいのか?」「自分はダメだ」と悩むこともあるかもしれない。でも、考えてみてほしい。勉強が苦手だからといってダメな人間だと誰が決めたんだ?教師か?親か?それとも自分自身か?実際、勉強が得意でなくても、社会で大きな成功を収めている人はたくさんいる。大卒、短大卒、高専卒、専門学校卒、高卒、中卒など、いろいろな学歴の人がいるけれど、自分のやりたい仕事を見つけ、充実した毎日を送っているかどうかに学歴は関係ない。
一番大切なのは、自分が何をやりたいか、ちゃんと考えて生きているかどうかだ。逆に、いちばん良くないのは、学校の成績を上げることだけに一生懸命になり、自分の夢や、やりたいことを考えないこと。それだと、たとえいい学校に進学しても、やりたいことが見つからず、いざ仕事を探そうとしても途方に暮れてしまうことがある。かつて自分もそんな経験をしたことがある。
たとえば、Kは学校の成績が抜群に良かった。両親もKを誇りに思っていたし、地元でもトップクラスの進学校に入学した。次の目標は国立大学の法学部。両親の期待に応えようと頑張って勉強し、見事に合格を果たした。けれど、法学部に入ってから気づいた。「自分は法律に興味がない」ということに。授業はつまらなく、学ぶ意味が感じられない。大学生活は苦痛に変わっていく。そして、就職活動の時期になっても、自分が何をしたいのかまったくわからないままだった。
こういう話は、決して珍しくないと思う。学校の成績が良くても、自分の本当にやりたいことを見つけられなければ、学歴は意味をなさない。
勉強さえしていれば、自分にピッタリの仕事を誰かが与えてくれるわけじゃない。だからこそ、勉強も頑張りつつ、自分がどんな生き方をしたいのかを考えることが本当に重要だ。自分の道をしっかり考える。それが大切だと思う。
さて、ここまで学歴の話をしてきたが、学校に行かなくても人生は続く。学校は勉強や社会のルールを学ぶ場としてとても重要だ。しかし、ちょっと特殊な場所でもあるよね。同じような年代の人だけが集まって、校則という、その場だけのルールもある、社会とは少し異なる世界。学校という枠組みに合わず不登校だった人が、大人になって社会で居場所を見つけ活躍している例はたくさんある。学校に行かないことで人生が終わってしまうかのような絶望を感じる必要はまったくない。
ただ1つだけ伝えたい大切なことがあって、それは、一人で家にこもらずに、行動を起こしてみてほしいということ。あせる必要はない。自分のタイミングで、ゆっくりでいい。動いてみてほしい。少しだけ勇気を出して、外の世界に目を向けてみてほしい。たとえば、趣味が同じ人たちが集まる場所に顔を出してみるとか、フリースクールに通ってみるとか。学校以外の場所で自分の居場所が見つかれば、いま感じている苦しさも少しずつ和らぐはずだ。
人生って不思議なもので、一歩踏み出してみると、思いもよらない光が差すことがある。だからね、あせらず、下を向かず、自分のペースと歩み方で前に進んでほしい。たとえ小さな一歩でも、それが未来を大きく変えるかもしれない。どんな場所でも、どんな状況でも、自分の居場所や進むべき道を見つけることはできる。自分の人生を、自分のやり方で歩んでいこう。
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